Nano Banana Proって結局何なんだよ?

雑記

※本記事は、あくまで一個人が実際に触って感じた体験談・感想をまとめたものです。
AIの価値や創作の在り方を一つに断定する意図はなく、立場や経験によって評価が変わる点はご理解ください。

AI画像生成は「進化が早すぎる」

近年、AIアプリやAI画像生成サービスの進化によって、一般人の間にも急速にAI絵画が普及してきました。
特にここ一年で画像生成サービスは急加速で進化しており、Google GeminiのNano Banana Proに対抗して、OpenAIがChatGPT-5.2をリリースするなど、大手AIディベロッパーによる殴り合い鎬の削り合いが起きています。

AIの進化は消費者にとって嬉しいことですが、進化のスピードがあまりにも早く、大半の一般人はついていけていないのが現状ではないでしょうか。


Nano Banana Proを巡る過剰な称賛と煽り文句

特に2025年12月前後に登場した、Google GeminiのNano Banana Pro

「これは凄い」
「すべての生成画像AIの常識を覆す」
「Photoshop・Canvas不要」
「これ一つで漫画が描ける」
「YouTubeのサムネイル作成・写真のロゴ入れも簡単」

こうした言葉がネット中を飛び交い、果てには、

「Photoshop今すぐ解約するわ」
「イラストレーター・サムネ職人全員廃業」
「全てNano Banana Proで作業が完結するのに、未だにPhotoshop使ってるやつは惰弱」
「絵しか描けないギフテッド終了。Nano Banana Proの登場でお前ら用済み」

といった、かなり過激な言葉まで踊るようになりました。

20年来のPhotoshop使いで、月額980円時代からAdobeにサブスクを支払ってきたワシ、涙目…。

「で、何をしたらどう凄くなるの?」が見えてこない問題

それだけ凄いのなら、さぞかし革命的なツールなのだろうと思い、日々調べていました。
しかし、出てくるのは「とにかく凄い」という情報ばかりで、何をどうしたら凄くなるのかがほとんど見えてきません。

検索上位に引っかかるのは、主にnoteのテック系記事など。
冒頭では「Nano Banana Proがいかに凄いか」は書かれているものの、具体的なプロセスがほとんど書かれていない。

あったとしても、以前から様々なAIサービスを使いこなしているガジェット好きの検証記事で、この時点で知識の乏しい一般人(いわゆるAI惰弱)は、完全に置いてけぼりです。

AI惰弱なりに出した結論

それで、私はAI惰弱なりの結論に辿り着いたわけですよ。

「お前ら騙されるなよ!」
「ネットにある『Nano Banana Proが凄い』って記事、個人ブロガーがPV稼いで収益出すための提灯記事だからな!」
「『未だにPhotoshop使ってるやつは惰弱』なんて、過激な言葉の方が注目集められるから書いてるだけだぞ!実際、PhotoshopにもNano Banana Proは搭載(有料)されてるぞ!」
「『Nano Banana Proが凄い』って情報が独り歩きしてるだけだぞ!」
「記事に載ってる画像を実現するには、コスト度外視の環境と相応の知識と経験と技術とセンスが必要だかんな!」
「一般人のみんな、騙されるなよ!!!! ……あ、騙されてるの私だけか」

Gemini本人に聞いてみたら、地獄が始まった

ネットで調べても埒が明かないので、「Nano Banana ProはGoogle Geminiのサービスなんだから、Gemini本人に聞けばいいじゃん」と思い、Geminiアプリに直接質問してみた。

……すると私は「Nano Banana」と書いているのに、Geminiは頑なに「ナナバナナ」と読み、「それは外部AIです。Geminiは提供していません」と言い張る。

「じゃあNano BananaはGoogleのサービスじゃないのか?」と思って再検索するが、やっぱりGoogleが提供しているGeminiのサービスじゃねえか。


その証拠をスクショに撮って提示した結果、Geminiは掌を返して認めた。


Gemini、てめえ…。

Geminiあるある:文脈を理解しない暴走

対話型AIは、それ以前のチャット文脈を参照して返答することがあるし、Geminiは、普段から突っ込んだ質問をすると、突然ロシア語やアラビア語が混ざる「ご乱心」が日常茶飯事。

気を取り直して清書ができるかどうかを確認すると――

Gemini、そうじゃなくて……。
私が聞いたのは「ラフを描くので清書できますか?」であって、「ラフと清書を下さい」ではないんだ…。

さらに生成された女の子キャラに動作をさせようとすると、

Gemini……お前、前からそういうやつだったよな…。

再生成を頼もうとすると、「通信が切れました」で無情に却下。
この瞬間、私は悟った。

生成AIアーティストは修羅場を越えてきている

「……世の生成AIアーティストは、黎明期からこの修羅場を乗り越えてきたのでは…?」

生成AIイラストは「誰でもできる」「指一本で簡単」「一瞬」と言われます。
しかし、少なくともアーティストとして確立している人の生成物は別物だと私は思います。

いわゆる「AIデブリ」と、プロやアーティストによる生成物が混同されて議論されるから、この問題はややこしくなるのだと思います。

無課金Nano Bananaの限界を知る

もう一度気を取り直して指示してみた。

……noteのテック記事とは結果が違う。
画像編集ソフト要らずできれいな日本語がスパッと入るのでは…???
どうやら、私が使っているのは無課金の「Nano Banana」の方であり、これが限界のようです。


新規チャットで本格検証してみる

ここで私は、「チャット内の以前の文脈が画像生成を歪めているのでは?」と考え、新規チャットを立ち上げた。

今回は、聖闘士聖衣神話の画像を取り込み、それをイラスト化し、別の動作をさせる実験を行います。
聖闘士聖衣神話を使用したのは、顔や髪型の立体構造をAIに認識させやすくする意図がありました。

写真選定にあたり、

  • 聖衣は背景と同化しやすく、反射で認識されにくい
  • 全身が写っていない、衣類のシワが複雑、道具を持っている画像もキャラの抽出が難しい
  • そもそも自分の写真が下手だった

という現実を考慮し、「AIが認識しやすい写真」を膨大な量のカメラロールから必死に探しました。

コントラストがすべてを解決する

結果、人物とコントラストがはっきりした画像を採用。
まずは、写真をイラストにするために「アニメタッチにして」と指示してみた。


Geminiてめえ……。

背景が邪魔だと判断し、トリミングして再挑戦。

Gemini、なかなかやるじゃないか。……肩関節はマイスそのまんまだけど。

調子に乗り続けた過程と結果

次はシーンを追加してみた。
特にこだわりはなかったのでパッと思いついたものにしてみた。

Gemini、なかなかやるじゃないか。

更に調子に乗ってみた。

先にこっちを使えばよかったのだが、コントラストで目についたのが黒い方だったのだ。

Gemini、やるじゃあないか。…関節はマイスそのまんまだけど。

また更に調子に乗ってみた。

イラスト化した二人を配置してイラストを書かせる試みだ。

私みたいに中途半端にしか絵が描けない人間にはとても嬉しい機能だ。

現実は甘くなかった…。

指示を具体化しても、

Geminiあるある。
面倒になると同じ画像を連続で投げてくる現象。

シーン変更:サガといえば入浴

これは平行線だと判断し、シーンを変更。

サガといえば入浴シーンですよね。

……そっちか。

「ガルーダのアイアコスが入浴しています」と言われても誰も疑わない構図。
先に生成した黒髪サガの影響でしょう。

指示を詰めたら、Nano Banana Proが本領発揮

黒い髪も青い髪も顔が同じなので、AIが別人と判断ができなかった結果だと思う。

「この人物の髪を青にして、瞳を緑に、ローマ・ギリシア風の浴室で入浴させて下さい」の指示を出したらイメージに近くなるのでは?と思い、再度指示を試みた。

構図は引きになりましたが、髪の造形と顔の再現度は非常に高い
ここで初めて、Nano Banana Proの方で生成されていることに気が付きました…。
お試し期間で何時の間にか切り替わっていたみたいです。

Nano Bananaが「凄い」と言われる理由

Nano Bananaが評価されている最大の理由は、

キャラクターを崩さずに、様々なシーンを再現できること

です。

ChatGPTではリテイクを重ねるほど、元のイメージが崩れがちです。
これまでLoRA構築や画像編集ソフトでの切り抜き合成が必要だった工程を省略できるのは、確かに画期的だと思います。

中途半端な絵描きにこそ向いている

私のように、

  • 一枚絵は描ける
  • でも継続できない
  • 落差が激しい

人間にとって、「会心の一枚」を取り込んで連続シーンを生成できるのは非常にありがたい。

フードから髪が貫通しましたが、こんなの編集でどうとでもなります。

元画像の「髪の毛のハネ」が傷として認識されているようだ。

「典型的AI絵」が生まれる理由

その後、自分で撮ったマイスの写真を元に色々と試みました。

何と言うか…いかにも「AIで描きました!な絵」と言うか…
「女性ウケする絵にして」と指示しても上手く行かない。

指示を詰めて書いたら実現したが、「商業漫画でよく見る絵」になった。

有名作家の画風指定は規約違反になるため、ジャンル指定でぼかすしかありません。
その結果として生まれるのが、「平均的で凡庸なAI絵」。

私はこれを、著作権に触れないために生まれた新たなイラストジャンルだと捉えています。

商用では便利ですが、個人の趣味で出すと顰蹙を買うのが現状です。企業でも下手に使うと炎上する世の中です。

「典型的AI絵」を回避するには、リテイクを繰り返してスタイルを詰めていくか、一回自分の手で描くなどの、ひと手間の作業が必要だと私は思います。
結局「描ける人」にしか…

生成AIと著作権についての補足

Nano Bananaを悪用すると、これまで以上に手軽に、他人が描いたイラストをダウンロードしてAIに取り込み、あたかも「自分の作品」であるかのように発表することが可能になってしまいます。
また、公式イラストを取り込んで、自分の好きなシチュエーションを生成することも技術的にはできてしまいます。

しかし、原則として公式イラストの使用は禁止されています
他人の作品や公式絵を無断で使用・加工したことが判明した場合、社会的な信用を失うだけでなく、法的措置を取られる可能性もあります。

生成AIの性能が上がったからこそ、
「できること」と「やっていいこと」は、これまで以上に分けて考える必要があります。
他人の作品を無断で取り込む行為は、絶対にやめましょう

ここで述べているのは技術的に「可能である」という話であり、実際の利用や是非については各サービスの規約や法律を必ず確認してください。


Nano Banana Proは「漫画向け」だが万能ではない

私個人としては、手軽な一枚絵の生成だけでは「表現」とは言えず、
連作や漫画にして初めて意味が出ると感じました。

その点、Nano Bananaはキャラクターを保ったまま連続生成できる。
これが「Nano Banana Proは漫画が描ける」と言われる正体でしょう。

ただし、「人に見せられる形」にするには、

  • テーマの確立
  • 緻密なプロット
  • 明確な構成指示
  • 度重なるリテイク

が必要で、「誰にでも簡単」ではありません。

結局、
Nano Banana Proで漫画が描ける人=元から漫画が描ける人

もしくは、
漫画が描けなくても生成AIの種類や機能に精通しており、AIに的確に指示ができるAI強者です。

その「簡単」は誰基準だ?

なので最後にもう一度言います。

「Nano Banana Proを称賛する記事で『簡単にできる』って書いてるけど、それはAI強者の言う「簡単」だからな!」
「誰にでもすぐできるわけじゃねえぞ!」
「断じてイラストレーターは用済みにはならねえからな!」
「騙されてるのは私だけかもしれんが、皆、騙されるなよ!」

これはAIや生成技術そのものを否定・肯定する話ではなく、「誰でも簡単に置き換えられる」という極端な言説への違和感として書いています。


おわりに

そんなNano Banana Pro、今なら1ヶ月無料(2025年12月現在)だそうです。
なお、私はGoogleの回し者でもありませんし、アフィリエイトや収益化もやっていません。
使うか使わないか、活かせるかどうかは私次第、そして貴方次第です。

コメント

  1. panda-seven より:

    詳細なレポートどうもありがとうございます。背景を描くのが苦手なので、自分の描いた人物にいい感じの背景を当てはめてイメージを固める、と言う感じの使い方をしてみたいなと思いました。が、言うことを聞かせるのは結構大変そうですね。

    • DAWN DAWN より:

      こちらこそお読みいただき、ありがとうございます。「Geminiてめえ…」を幾度も繰り返してしまうぐらい言うことを聞きませんでした。世のAI強者はどうやっているのだろう?と不思議に思います。

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