2014年バレンタイン遊戯大会-a面-
近年某メーカーの太陽系チョコを買っていたが、今年は完売していたので双子座類遊戯だ!
双子座類編
今年もバレンタインがやって来た。
『バレンタインと言えばチョコレートで思いを伝える日と言うな…』
日本では女性→男性だが、欧米では恋人同士のプレゼント交換らしいし、贈り物は別にチョコに限定されていない。
双子座類では一番の乙女心を持つ。
『今年は冥闘士兄さんに手作りチョコを作って渡しちゃうのv』
そうと決まれば早速作成…
…の筈が、明らかに制作風景が怪しい。
チョコと全く関係なさそうなものが大勢並んでいる。
『チョコに血は最早常識だよな。食べるだけでオレに惚れ込んでしまうように百発百中、一撃必殺の惚薬を仕込まないと。この日のために通販でマンドレイクを買っておいたんだよ』
いよいよ恐怖のチョコ作成は佳境に。
ここで文献を確認。
『…えーと、秘伝の惚れ薬はどんだけ混ぜるんだっけ?え、分量間違えると死ぬの??マジで?』
どんなチョコレートを作っているのか、果たしてそれは本当にチョコレートなのか。
そこでクロコゲデフテロスダマシ登場。
『お、うまそうなチョコあるじゃん。一個味見させろよv』
『あ、おい、ちょっと待てよ』
欠片を喰ってみた結果、
『…ぐあああああっ…!!!喉が灼ける!!!!胸が苦しい…!!』
多少のものを喰っても中らないコゲがこの有様。欠片だけでこの有様。
『んもー、勝手に喰うなよ』
喰った人間が目の前でのたうち回っているのに冷静。
『それはマンドレイクをまだ入れてないからお前が俺に惚れることはないけどな』
マンドレイクを入れてない状態でそれか!
家政婦は見た。
(…あれで更にマンドレイクまで入るのか!?…毒物の部類だろ!)
戦慄の冥サガ。
そんなものの制作風景を見た日には逃げるのが定石であるが、
問答無用で捕まった。
『もう、兄さんたら。今日はオレと一緒に過ごすんだから勝手に出かけちゃダメだよ?』
捕まってしまった…。
(発売が後二週間早ければ私EXに押し付けて逃げられたものを…)
多分体よく逃げられて結局こいつが捕まると思う。
恐怖のチョコレート譲渡。
『オレ、兄さんのためにバレンタインチョコレート作ったよ。食べて欲しいなv』
あんなに恐ろしい制作風景を見て食べられる訳がない。
『…私はあまり甘いものが好きでなくて………』
邪チョコレート回避の常套句。
断る、と言いたいが。
『…勿論、食べてくれなかったらGEXだよ?』
『………』
どのみち死ぬ。流石はジェミニ、愛か死かの二択しかない。
死に直面して冥サガにも新たな考えが浮かんだようだ。
(……しかし、食べて中ってしまえば明日から控えているアケローン河流域亡者統計データベース作成デスマーチを回避できるかもしれない……)
毎年定例で入る統計調査。終わりのないデータ入力は苦痛以外の何者でもない。
結論は回避ではなく死への特攻だ。
『…わかった。お前の気持ちを受け取ろう。…ただし、私に何かあったときはしっかり面倒を見てくれるな?』
救急車の手配とか入院の手続きとか。最悪の場合葬式の手配とか。
『勿論だよ兄さん。食べてくれるの嬉しいなあv』
だが、
『…そのチョコレート…私にくれないか…仕事疲れで甘いものが食べたくなった………』
その目は遠い。
『もう年度末決算や年間結果報告作成や確定申告の手続きとか嫌だ…。頼む…そのチョコレートを私にくれ…』
『…えー、やだよ。冥闘士兄さんに作ったものだし』
更に、
『…いやそのチョコ、オレにくれ…。決算でクソ忙しい時に差し込みの出張とかもう嫌だ…』
ここでダチョ○倶楽部のばりの譲り合いが展開された。
『そんな危険なもの食べるなアイオロス、私が食べるから身体は大事にして仕事に専念しろ』
『…いやいや、お前こそ自分の身体は大事にしろ。オレが食べるので仕事に戻れ』
終いには喧嘩になった。
『お前が抜けたらその分の穴埋めは誰がすると思っているんだ!!!!』
『それはお互い様だろ!お前だって抜け駆けする気のくせに!』
二人で分けて喰う発想がないのか。
自殺志願者がもう一人登場した。
『…ここに、食べたら一撃必殺で楽になれるチョコレートがあると聞いて』
まるで安楽死できるように思われているが、きっと悶え苦しむと思う。
『誰が冥闘士にくれてやるか!これはオレが戴く!』
『…それには及ばん。双子座類の作ったものは同じ双子座の私が戴くのでお前らは帰れ』
『何だと貴様等!一回オレの仕事代わってみるか!?』
オレの作ったチョコレートを巡って、皆で奪い合いをしているだなんて。
『…もしかしてオレ、モテ期到来?』
(どう考えてもモテているのはお前自身ではなくそのチョコレートだろ…)
ともあれ、今のうちに逃げるのが吉だと思う。
以上、バレンタイン遊技大会でした。